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虫歯の診断について

みなさんお久しぶりです、院長の髙橋です。

この度某口コミサイトにて『当院で虫歯と言われたけど、他院では虫歯ではないと言われた』との投稿がありましたので、この機会に一般の方が疑問に感じているかもしれない【虫歯の診断】について記事を書こうと思います。文章が多いですが下の方に症例提示していますのでそちらもご覧ください。

前提として虫歯になってしまったら基本的には歯を削る必要があり、虫歯の治療の段階としては

➀樹脂による詰め物の治療

➁型どりして銀歯などを詰める治療

③神経を除去し被せ物をする治療(最終的に歯の根っこに土台を作って被せる、いわゆる差し歯になります)

④保存不可能であれば抜歯

と段階があります。

当院に実際に通われていらっしゃる患者さまはご存知かと思いますが、当院では歯を削る量を少なくするためにできるだけ早期に発見し、できるだけ歯を温存する治療を目指しております。
私(院長)も女性の先生(副院長)も1本1本の歯を丁寧に確認する・治療するためにカールツァイス社製の拡大鏡(倍率は4倍以上で、明るい光源も付いているので小さな歯が目の前にあるみたいにとっても明るく良く見えます)を用いて診療を行っております。普段から顕微鏡を用いて診療をされている先生からしたら4倍なんてまだまだ甘いと思われるかもしれませんが、拡大鏡を使用し始めてからはとてもじゃないですが裸眼(メガネ)では細かいところが見えませんので拡大鏡なしで治療することは考えられない(私はメガネ装着で視力1.2程度です)くらい日々の相棒となっています。

では本題ですが、なぜ『医院によって虫歯、虫歯じゃない問題』が勃発するのかと申し上げると、原因はいくつか考えられますが、まずは先生によって『虫歯の表現の違い』や『どの程度の虫歯で治療するか』、そもそも『虫歯を発見できているか』などの要因があると思います。

検診の際に歯科医師や歯科衛生士がCとかC0(シーオーと読みます)、C2(シーツー)といったCがつく謎単語を聞いたことがあるかもしれません。CとはCaries(カリエス)、つまり『虫歯』の意味で、段階に応じてC0→C1→C2→C3→C4と表現します。これは虫歯が歯の組織にどれだけ侵入しているかを示しています。
C0は歯の表面が少し溶けてしまったけど再石灰化して硬化したが、表面が白や茶色、場合によっては黒っぽく濁っている状態。
C1はエナメル質、C2は象牙質、C3は歯の神経(歯髄)まで進行、C4は歯が崩壊して根っこだけになってしまった状態と私たち歯科関係者は表現します。
これは全世界共通の認識で歯科医師によって差異があることはございません。

☆虫歯の表現の違い☆
ここに2人の歯科医師がいるとします。
A先生は削る必要があると考える虫歯を患者さまに対して『虫歯』と表現し、削る必要のない表面が白濁しているものやエナメル質内のものを『虫歯』と表現せず、『問題ない』と説明する。
B先生は削る必要があると考える虫歯を患者さまに対して当然『虫歯』と表現し、削る必要のない表面が白濁しているものやエナメル質内のものは『虫歯ではあるがまだ削る必要はないので経過観察します』と説明する。

結果は同じですが、いかがでしょうか、患者さまが受ける印象は異なると思います。

☆どの程度の虫歯で治療開始するか☆
場合にもよりますが、私はC1→C2になりだした虫歯(エナメル質よりさらに象牙質に侵入してきた段階)は治療が必要と考えます(歯によっては治療後に痛みがでてしまう可能性もあります)。
もちろん虫歯の性質(進行しているか、止まっているかなど)を見極めたうえでの治療にはなります。
経過観察でも問題ないと判断した小さな虫歯の存在を説明をすると、患者さまから『小さな虫歯と言いますが、虫歯なのに治療しなくていいのですか?』とよく聞かれるのですが、虫歯は削ったら修復するために何らかの材料で修復しなければなりません。しかし、あまりに削った穴(例えば1mmにも満たないような小さなくぼみ)が小さければ詰めた材料が取れたり欠けたりしてしまいます。
そのため、このような小さなくぼみを詰めることはできないので、それをわざわざ樹脂などを詰めるために本来あった小さな虫歯以上に歯を多く削る必要があります。そのため、そのような場合の虫歯に関しては削らずに口腔内写真を撮影、カルテに経過観察を行う歯を記載し検診ごとに進行していないか特に注意し確認しております。

次に虫歯が象牙質まで到達しある程度広がったC2で治療を開始する先生(歯によっては治療後に痛みがでてしまう可能性もあります)や、先生によっては歯に穴があいているのを認識しつつも、“患者さまが痛みを訴えてからようやく”治療開始する先生もいらっしゃるかと思います。

このように虫歯に対して治療を開始するタイミングが先生によって微妙に異なることも『虫歯、虫歯じゃない問題』の一因になると思います。

☆虫歯を発見できているか☆
虫歯は多種多様であるため、この問題が極めて難しいと考えます。
見た目にも穴が開いているものは虫歯として確実に発見されると思いますが、判断しにくいものが『奥歯のかみ合わせの溝に沿って着色があり穴は開いていないように見えるが、極々小さな穴から虫歯が侵入して内部で大きく広がっているもの』や『歯に穴が開いていないが一部変色している(歯の内部が黒や白く濁っている)虫歯』や『視診で明らかに変色はあるがレントゲン撮影しても虫歯として判断できないような写り方をする虫歯』などがあります。
どのような虫歯がそれに該当するのか実際の写真を見ていただきます。

上の写真は痛みがあり他院受診するも問題なしと言われ、当院を受診された患者さまです。咬み合わせの溝に着色が認められます。しかし、枠内の部分に小さな穴が開いており歯が少し暗く見えると思います。これは虫歯が透けて見えている部分で比較的わかりやすい虫歯です(左下は除去中の虫歯)。最後に樹脂による充填を行いました。

 

上の写真は長年かかりつけ歯科医院で定期検診を受けられ問題ないと言われていたが、たまたま知人に当院をすすめられて受診された患者さまです。私には内部ですでに大きく広がってしまっている虫歯に見えましたので、すぐに治療を開始いたしました。

 

上の写真は特に痛みもないが検診で当院を受診された患者さまです。どこに虫歯があると思いますか?黄色で囲った部分が若干白濁しているのが分かりますでしょうか。この程度の虫歯ではレントゲン画像でも認識できないことも多く、この歯もレントゲン画像では虫歯と断定するには根拠に乏しいものでした。視診では虫歯を強く疑う旨を説明し、患者さまと相談し治療を行い、虫歯を確認していただき樹脂により充填を行いました。

 

上の写真はわかりやすい虫歯による白濁があります。しかし歯が欠けずに形を保っていたので刺激が入りにくく普段痛みを感じておられませんでした。しかし、左下のレントゲン画像でも虫歯の黒い影と神経がとても近いことが分かります。実はこれだけ大きな虫歯があったとしても痛みを感じないことは多くあります。虫歯を除去した後、神経に近い部分に薬剤を敷き、咬み合わせも強くないことから樹脂により充填を行い、念のため適切に充填できたかどうかレントゲン画像にて確認しました。この方は治療により神経に強い刺激を受けることとなってしまったので、治療後は強い痛みを感じていましたが、数か月後には症状も落ち着き、無事に神経を温存できました。

 

上のレントゲン画像は親知らずが斜めに倒れており、その前の歯との間に虫歯があると判断し撮影したものです。左が1枚目のレントゲン画像で通常通りの位置決めで撮影したものですが、虫歯を疑う黒い影が確認できませんでした。しかし、視診にてある程度虫歯の確信がありましたので次は角度を変えて撮影を行いました。その写真が右側の写真であり、やはり神経に近接するような大きな虫歯の影が確認できました。レントゲン画像における注意点はこのように撮影する条件によって虫歯を見逃してしまう可能性もあると考えなければならないということです。

まとめて参りますが、当院ではこれらの見つけにくい虫歯も拡大鏡や歯に強い光を当てたり、レントゲン画像を駆使して早期発見できるよう、日々慎重に診療しております。
また、可能な限り治療前の歯の写真、【実際に歯を削って確認された虫歯の写真】、処置後の写真などをカルテに保存し患者さまにも実際に確認していただいております。
しかしながら歯の一部に虫歯を疑う変色があるけれど、レントゲン画像では虫歯の存在が明らかではない場合(レントゲンの写り方の問題)が治療していて一番困ります。

その場合は視診での精査にて虫歯の確信がもてなければ厳重な経過観察を行いますが、少しでも変化があれば私と患者さまとの信頼関係にもよりますが、私の視診を信じてくださり処置の希望があれば治療していきます(この場合もほぼ内部に虫歯があります)。
当院では虫歯ではない歯を安易に削ることはないですし、処置をする必要があると判断した場合のみ患者さまに納得していただいた上で治療を行います。

今まで定期的に歯医者に通っていたけど、当院で虫歯が多数見つかったと悲しまれる患者さまも多くいらっしゃいますが、処置中の虫歯の写真を実際に見ていただくと、見た目では分かりにくかった虫歯が隠れていたことに驚かれます。このように、見つけにくい虫歯自体も『虫歯、虫歯じゃない問題』の一因になるものと考えます。
逆もしかりですが、当院で虫歯として疑うもしくは虫歯と診断した歯が、他院では虫歯として診断されない場合もあると思います。
特に咬み合わせが強い方、歯ぎしり・食いしばりの癖がある方は歯と歯の間(隣接面)に虫歯ができることが多いですが、穴があくまで気付かれず、場合によっては痛みを伴わないため見過ごされることも多いと思います。

久々にブログを更新することになりましたが、多くの方が疑問に思われているであろう『虫歯、虫歯じゃない問題』についてやや専門的な話を交え、当院での診断に対する姿勢や治療に関して大まかですが、記事を書かせていただきました。
また、セカンドオピニオンは患者さまの当然の権利ですので納得がいく医院で大事な歯の治療・メインテナンスを受けるようにしましょう。

※今回症例提示で紹介した治療前後の写真ですが、C1~C2のカリエスに対する、CR充填(保険診療)であり、治療回数は1回、費用は約1500円、咬合および部位によっては破折・再治療のリスクがあります。

 

~神戸市須磨区にある歯医者(JR鷹取駅から徒歩3分)~

こもれび歯科クリニック

院長 医学博士 髙橋 佑輔

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